東洋医学の更年期の考え方
中国古代に発達した「陰陽五行学説」という思想があります。
全ての物質や現象は、陰と陽の二つの面を持っていると考える「陰陽学説」
全ての事物は木・火・土・水という5種類の要素に分ける「五行学説」
この二つが合わさった「陰陽五行学説」をベースに、東洋医学では身体の状態を診ていきます。
五行説により、身体の内臓も「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分類できます。これを総称して五臓といいますが、西洋医学の内臓とは少し解釈が違って、身体の働きを示していて、互いに協調しあいバランスを保っています。
五臓の中で更年期に関わっているのは「腎」です。
腎は生命活動に関係していて、自律神経の調節やホルモン分泌、成長発育や生殖能力に影響を与えます。髪の毛が伸びたり、歯が生え変わったり、月経が始まったりするのは腎のエネルギーによるもの。
老年期になると腎のエネルギーが弱くなり性機能、生殖能力が減退、消失し身体も衰退していきます。体力が落ちたり気力が出なくなったりするのも腎のエネルギーが弱ってくるからです。
更年期を上手に乗り切る、鍼灸サロンanneの治療法。
「腎」と同時に「肝」「脾」「心」の働きとも深く関係しています。
anneの鍼灸治療では、「腎」をメインに五臓のバランスを整えながら、全身をめぐる「気(き)」「血(けつ)」「津液(しんえき)」の調整をしていくことを目的としています。「気(き)・血(けつ)・津(しん)・液(えき)」は生命活動を維持するために重要なものです。
「気」は生命エネルギー、「血」は血液、「津液」は血液以外の水分のことです。腎の衰えとともに、血や気の滞りや不足なども更年期の症状と関係するので、同時に調整していくことが必要になります。
≪ホットフラッシュ≫
ホットフラッシュとは、上半身に感じる突然の熱感で多くは数十秒から数分で治まります。
急に顔がほてる、突然、体(上半身)が熱くなる、汗が止まらないなど更年期の代表的な症状です。 急に熱くなり汗が止まらない、一人だけ大汗をかいて恥ずかしいなど、症状が出る方にとってはとてもつらいものになります。
これは自律神経調節の乱れにより、血管の収縮と拡張のコントロールがうまくいかないために起こる現象です。
ホットフラッシュは上に熱が溜まった状態です。その熱がどこで滞っているのかを探り、その部分の巡りを良くすることで熱が下に降りてきます。自律神経の乱れと気と血の滞りを整えていくことで症状を緩和します。
≪イライラ・不安感≫
生理前になるとイライラすることがありますが、それはセロトニンと関係があります。
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、幸福感を感じ、心を安定させるホルモンです。
更年期に入り、エストロゲンが減るとセロトニンも減少します。これによりイライラしたり不安になったり精神的に不安定になります。
また更年期の時期は、家庭や仕事など環境も変化する時にあたります。ストレスによってもセロトニンは減少するので、更年期によるホルモン変化と環境の変化がイライラや不安感を増幅する可能性があります。イライラや不安な時は交感神経が活発になっているので、深呼吸して副交感神経を優位にすることが効果的です。
このような状態のときは身体も緊張しています。その緊張を取り除き(特に背中の緊張)
高まっている交感神経を抑え、そのあと副交感神経を刺激して自律神経のアンバランスを整えていきます。
≪不眠(睡眠障害)≫
不眠のタイプはいろいろありますが、更年期で典型的なものは、夜間のホットフラッシュや発汗異常による中途覚醒や早朝覚醒です。眠りが浅く熟睡感を感じられないため、睡眠の質の低下につながります。
また、心配事があって眠れなくなる、日中の些細なことが気になって眠れないなど、精神状態が不眠につながる場合もあります。
眠りに入る時は副交感神経が優位になりますが、交感神経が優位になっていると睡眠の妨げとなります。眠りを促すメラトニンはセロトニンから作られるのでセロトニンの減少がメラトニン不足になり、眠りが促進されず不眠が続く悪循環が生まれます。
高まっている交感神経を鎮めてリラックスする施術で自律神経の働きと身体の巡りを整えます。
≪疲れやすい≫
朝から身体がだるい、家事をするのも大変、仕事が終わると動けなくなる…など更年期の疲労感は多くの女性が感じている症状で、少し休息をとれば回復するような今までの疲労感と違い慢性的に疲れている状態です。
更年期に現れる他の症状のように女性ホルモンの減少が著しく関与しているとは言い切れませんが、やはりホルモン減少による自律神経の乱れも関係があると思われます。
また、睡眠の質の低下により疲労回復、体力回復が追い付かなくなり、いつも疲れている状態になります。
更年期の症状は人それぞれ。更年期でお悩みの方は鍼灸サロンanneまでお気軽にお問い合わせくださいね。